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    自分はただ待っていると答えた。
    すると、黒い眸のなかに鮮に見えた自分の姿が、ぼうっと崩れて来た。

    静かな水が動いて写る影を乱したように、
    流れ出したと思ったら、女の眼がぱちりと閉じた。
    長い睫の間から涙が頬へ垂れた。
    ――もう死んでいた。


    夢一夜4-2
     

    自分はそれから庭へ下りて、真珠貝で穴を掘った。
    真珠貝は大きな滑かな縁の鋭どい貝であった。
    土をすくうたびに、貝の裏に月の光が差してきらきらした。
    湿った土の匂もした。

    穴はしばらくして掘れた。
    女をその中に入れた。
    そうして柔らかい土を、上からそっと掛けた。
    掛けるたびに真珠貝の裏に月の光が差した。

    それから星の破片の落ちたのを拾って来て、かろく土の上へ乗せた。
    星の破片は丸かった。
    長い間大空を落ちている間に、
    角が取れて滑かになったんだろうと思った。

    夢一夜4-1


    抱き上げて土の上へ置くうちに、
    自分の胸と手が少し暖くなった。



    夏目漱石『夢十夜』
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